【ご挨拶】孤独死のない社会へ――つながりの再構築を目指して

皆さま、こんにちは。
NPO法人 生活あんしんサポートの理事長、生田忠士です。

日本は今、世界に類を見ないスピードで高齢化が進み、単身で暮らす高齢者の数は年々増加の一途をたどっています。2020年時点で672万人、2040年には896万人に達すると見込まれています。そのような中で、「孤独死(孤立死)」は、私たちの社会に突きつけられた極めて深刻な課題のひとつです。

2024年、警察庁が初めて公表したデータによると、自宅で亡くなった一人暮らしの高齢者は5万8,044人にのぼり、これは全国の遺体取扱件数の4分の1に相当します。さらに内閣府の推計では、死後4日以上経って発見された孤立死は3万1,843人、そのうち65歳以上が約7割、男性が約8割という実態が明らかになりました。

孤独死は、単なる「一人で亡くなる」という事実にとどまらず、社会とのつながりの断絶、経済的困窮、医療や介護へのアクセスの不全など、多くの要因が複雑に絡み合って生じるものです。私たちはこの現実を「社会のひずみ」として直視しなければなりません。

特に都市部では、地域コミュニティの希薄化が顕著で、日常のちょっとした声かけや気づきが届きにくい状況にあります。さらに、経済的に困窮し、必要な医療や介護を受けられずに病気を悪化させる高齢者や、デジタル機器に不慣れで行政や支援団体との接点を持てない方々も少なくありません。

私たち「生活あんしんサポート」は、こうした“制度のすき間”に落ちこぼれてしまう人々に光を当て、行政でも民間でも担いきれない課題に地域の力で寄り添いたい、という思いで立ち上げたNPOです。

具体的には、次のような取り組みを展開しています:

  • 高齢者への定期的な見守り活動、安否確認
  • 民間事業者(配食・宅配業者・警備会社)との連携による日常の異変把握
  • IoTやセンサーなどのテクノロジーを活用した早期発見体制の構築
  • 高齢者サロンの開催や多世代交流イベントの推進
  • 終活支援(生前・死後事務契約、遺言作成など)
  • 高齢者住宅・施設入居のサポート、保証人不在への対応

大切なのは、「技術」や「制度」だけではなく、人と人のつながり、思いやりの心だと私たちは考えています。孤独死を防ぐには、行政や専門職だけでなく、地域に暮らす一人ひとりの関心と行動が不可欠です。

誰もが最期まで安心して、尊厳ある暮らしを全うできる社会を実現するために、私たちはこれからも活動を続けてまいります。ぜひ、地域の皆さま、事業者の皆さま、行政機関の皆さまとも力を合わせながら、“孤独死のないまちづくり”を共に目指していきましょう。

引き続き、温かいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

NPO法人 生活あんしんサポート 理事長 生田 忠士

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